ちゃんと弱くなれよ
「あなたは凄い、僕はすぐに影響されてしまうから」そんな言葉を吐かれても全くわたしの心は浮き浮きしなかった。またこれか、と溜息を吐いて凝り固まったこめかみを揉む。
あなたの好きなヒップホップがカウンタカルチャーだって知ってた?なんて今まで何度言わされたことか知れない。きっとカウンターカルチャーという言葉から伝えなければならない。わたしがこういうことを言えば出てくる反応は大抵二つに分けられる、「偉そうなクソ女」か、「あなたは凄い」だ。
わたしは診断が下る程度にはこの社会ではマトモじゃなくて、本が大好きだから言葉が強く聞こえやすいだけで、わたしはあなたと会話ではなく対話がしたいのだから音ではなく語られている文脈と内実を聴いて、あなたの考えを聞かせてだなんて、業なのだろうか。
まともが判るようになる薬を飲んだら世界からは色が失われ、こんなにも楽で、こんなにもつまらない世界なのかと愕然とした。何をもわたしの心を掴まず、何をもわたしの琴線を震わせない。あなた達はこんなにも、こんなにも楽だったのか。こんなにも楽なところから、わたしに欠落の烙印を押し続けていたの?
欠落だらけで"凄い"わたしは、あなたの世界を知ろうとずっと必死になっている。
声の大きい者に着いて行き、ここに居れば安心だなんて場所に篭城すれば、自分達以外を排除することになり、自分の本当の欲望が分からなくなる。わたしはそんなことばかり知ってきた。
わたしはあなた達のことを何も知らない。
"凄い"わたしは、Surviveする手段以外、何も知らないから。