2020-01-01から1年間の記事一覧

絶望へ手向ける花

ここまで来るのに何年かかったのだろう。4年?5年?10年?わたし達は、ずっと無かったことにされていた地獄についてやっと語るところまで来たのだ。 「平和と平等と権利のための社会運動」の名のもとにわたし達の平和と平等と権利は犠牲にされ、興奮して目を…

希望なんて歌えるか

「次はどのわたしを殺せばいい?そんな呪いを棄ててここまで来たはずだったのに」そう書いて下書き保存してしまっておいたのはわずか数日前。結局わたしはわたしを二度と殺せずに生かしたようだ。 「どうしてそんなこと言うの?」と小さな拳を握り締めて純粋…

三島由紀夫『天人五衰』

お金と力を手に入れたら、その次にほしいものは、出世ですか、それとも幸福ですか。どうせあなたの考えることは、世間一般の凡庸な青年の考えを一歩も出やしないわ。 あなたには特別なところなど一つもありません。 あなたは天から選ばれてなど決してなくた…

神様の紙

渡したぶん補うかのように、自分を甘やかさなきゃ甘やかさなきゃと言いつけてあまりにも慣れすぎた染み付いた慣用句を伝えて夜をわたしだけのものにして外へ出る。 自由を思い出すために化粧をしてお酒を飲みに行こうかという思いつきは、どうせ失礼な男をい…