大人になって、クソ野郎になった

十代の頃のわたしが今のわたしを見たら、一体なんて言うだろう。

思春期が終わって、特に訳もなく泣きたくなったりもしなくなって、文章が書けなくなって、生活は相変わらず潤わなくて、繊細さが傲慢さに変わって、素直にか細い感情を吐露するかわりのように咄嗟に笑いを選んで、大切な誰かを傷付けるたびにまたやってしまったと己を心の底から恥じる。

十代の頃の苦しみを、ずっと憶えているつもりだったのに。

悔しくて悔しくて、夜を走る電車のなかであの頃聴いて聴いて聴き込んでいたバンドの曲を久しぶりに聴いた。

「笑うが良い

僕は暗闇でジタバタ

叫ぶが良い

迸る命 若さよ」

 

情けないわたしは、隣に座る十代の彼女に、十代の頃のわたしがずっと言って欲しかった、ずっと求めて、求めて、これでいいはずだ、正しくても間違っていてもどっちだっていい、これで生きていくんだと拳から血を流しながら試し続けた言葉を伝えた。

命懸けで逃げていいと、情けないわたしが伝えた。