神様の紙
渡したぶん補うかのように、自分を甘やかさなきゃ甘やかさなきゃと言いつけてあまりにも慣れすぎた染み付いた慣用句を伝えて夜をわたしだけのものにして外へ出る。
自由を思い出すために化粧をしてお酒を飲みに行こうかという思いつきは、どうせ失礼な男をいかに木端微塵にするかに頭をつかい眉間に鈍痛を感じ精神に怒りの熱さを感じることになるのだという経験によって却下される。
眉毛を描かなきゃ外へ出られない不便な身体、コンビニとスーパー、今までの健康的な食事を無に還すパスタとポテチとアイスクリーム。
わたしが何かを求めて赴くとき、いつもチキンは売っていない。
一体わたしはどうすれば許されますか、あのときのごめんなさいをわたしはわたしのために発さないべきだった、彼の口の中、舌や前歯や臼歯をよけてよけて、わたしはわたしのごめんなさいを取り戻したい、取り戻したごめんなさいを皿に並べ、わたしはそれを眺め、満足するのだ。
知らない男に連れられ六本木の万ションの中で振るわれた暴力に対して得た対価は4万円。
この4枚で人は不安になったり悦んだりして、この概念は信仰されている。
燃やしちゃえば焔になる、そっちのほうがずっといいと思った。
この暴力に何回耐えれば幸せにしてあげられるかな、そう考えるわたしは死ぬほど馬鹿だけど、それを非難する権利はわたし以外に誰にも持たせてやるものか。
ちゃんとできなくてごめんなさい、普通になれなくてごめんなさい、健康的な人間に育たなくてごめんなさい、わたしなんかがあなたを好きになってごめんなさい。
それでもわたし、生きてきたのよ