OVER THE PARTY

一日太陽が沈むまでぼーっとしていた、気付いたら知らないひとにライターを貸した流れから一日遊ぶ流れになっていて、気付いたらこれじゃパーティで踊れないわってんでドレスをプレゼントされ、気付いたら彼と布団にくるまっており、気付いたらわたしはI can'tを繰り返していた、気付いたらわたしはひとり気付かれぬように泣いていた。わたしはやっぱり誰にも触られたくないみたいだった、何ひとつとして零れ落としたくないみたいだった。

自分に呆れる暇もないまま夜が来て、覚醒したらドレスに着替えてパーティが始まる。可愛い女のコふたり、可愛い男のコさんにん。女のコたちと踊り狂って、キスとハグの嵐を降らせ、張り付く男達の視線と手をケラケラ笑いながら振りほどき女のコたちだけで天を仰いで踊った、クラブではわたしの好きな音楽が何曲も流れて、まるでそこは見晴らしのいい地獄、天国とあまりにも似ているからわたしたちはどこに立っているのかまるで分からなくなってしまうね。
よく知らない相手からの好きがどうしても信じられなくて、彼からの試し行動に息も絶え絶えになっている彼女の発した「いいんですよ」は切実に胸に響く、その彼が朝のネオンを背後に光らせながら最後に告げた「オレ頑張るわ」はあまりにも残酷で美しかった。
こうして朝帰りの赤い電車の中、わたしの鼓膜に届く音楽もあのパーティで轟く音楽と同じようにわたしにやさしい。息をして、息をして、息をして、踊れ、あなたの踊り方で。   そう聴こえる。
 
この腕は誰、この唇は誰、ねえお願い助けて、わたしを掬い上げて、そんなときにその声をあげる相手をも、わたしは失ってしまった。
わたしのことはわたしが護るしかなくて、わたしが誰と寝ようとわたしの勝手で、それはあまりにも、あまりにも哀しい。

空っぽになればなるほど、美しい景色が増えていく。

この朝焼けの美しさを愚直に伝えることが出来たなら、どんなにしあわせなことだろう。