悼み


視界に飛び込んできた液晶から映る言葉は相変わらず彼の愚かさを露呈させたものだった。

わたしの名前が三回目に変わった日。

脳裏にまず浮かんだのは、昼間の白い光のなかで笑うわたしだった。
強いお酒を飲まないと眠れなくなって毎日酷いクマを目の下に浮かべて自失しているわたしでも、吐くまで泣きじゃくっていたわたしでもなく、痛む胸を引き摺りながら、あの坂道を登ってヘラヘラ笑っておどけて見せるあの頃のわたしだった。

「頑張ったね、辛かったね、痛かったね、ずっと欲しかったね、誰よりも一番、わたしがそれを欲しかったよね、もう大丈夫だよ、もう欲しがらなくていいんだよ」
そう言ってわたしはわたしを抱きしめて泣いて泣いて泣いて泣いた。

わたしの左腕には、きっと一生消えないであろう傷が残っている。
「わたしは物ではなく、切れば血が出る肉だ」という表明として、最後に残された手段として宿った傷だ。
やっと、この傷の愛しかたが分かった気がする。

誰も知らないわたし、誰にもあげないわたし、消したい過去がわたし、汚れちゃったわたしのキスでわたしが目を覚ます。

わたしの中に生まれたあの頃のわたしの墓石は、無敵だよって言うように白く光っている。