雪が降っていたのだ


たまには変えてみよう、と思い眠りにつく前に変更したアラーム音で目覚め、異様な身体の怠さと疲労と眠気を感じバイトへ行くことが出来なかった。
わたしは未だに普通に決められた通り働くことが難しくてしょうがない。
こんなんで今度、生きていけるのでしょうか。
「人生はリセット出来ないなんて言われているけれど、出来るんだよ」と友達は言っていた。彼が言うのなら、きっと出来るのだろう。よく分からない社会の言葉より、感覚に信頼をおいている彼の言葉を信じたい、それが普通にバイトへ行けないわたしが手に取れる選択の精一杯だ。

「あなたの呪いが解けて良かった」というようなことを手紙に書く。
呪いは呪いではなく降りつもる雪だ、雪、雪が降っていたのだ、呪いだと思っていたものは光であり、「こっちへ来いよ、楽しいぜ?」と語りかける。
ということが書かれていたのに、どうしてわたしは「解かれた」などと返事をしてしまったのだろう。
どこから、どこまで、惚けるつもりなのだと、やけにカラカラと音の鳴る重い頭を引き摺って今日も何も成さずに帰路へ着く。

生殺しにされていた時期と同じような体調の不良が現れている。
このままの生きかたをしていたら、きっとわたしはいつか限界が訪れ逃げることも出来なくなるのだろう。わたしはやはり、何かひとつの具体的な事象へ向かって走り抜けるようなことが出来ない人間なのだとまざまざと見せつけられてしまった。

頭がふたつあって悩む、それぞれに違う主張をしている、体を真っ二つに分けて、それぞれが違うほうへ行きたい、やっと呪文を見つけ出す、ドロシーがオズでしてきた冒険も全部0へ戻していきます、望みと違う、好みと違う、望みと違う、好みと違う、面白いんじゃない?面白いんじゃない?