SHINPIN

昨日テレビを観ていたらズバリ当てると有名な占い師がゲストに「あなたは親友の延長線のような人と付き合った方がいい、親友なら彼氏になっても素直に思ってることが言えるから無理しなくて済むよ」というようなことをアドバイスしていて、まるで一ヶ月前のわたしのようなこと言ってんなーと思いながら「好きになっちゃったらそんなん無理!」と一人叫んだ、真横にある家の中でオッサンが咳払いしたような気がした。

一人の人間が自我をある程度確立するまでにかかる年月と同じ時間分友達だった人と、見晴らしのいい地獄の最中に地獄の炎がギラギラ輝く光に見えてそれだけでもう生きていけるってくらい喜びの取り決めをし恋人同士になったわたしだけれどつい先日、わたしの性格のどうしようもなさが爆発したような電話を泣きながら彼にかけた。好きになっちゃったらわたしは結局こうなってしまうのかと、全然消えていなかった自分の持つ真っ黒なマグマに呆然とした。

どうしようもなく好きだから本当に大切なことからは目を逸らして自分のなかにしまっておいて、どうしようもなく好きだから不安になるよねだって1ミリだって幻滅されたくない、わたしのこと1ミリでも好きじゃなくなったら殺すみたいなモチベで愛に接しているしわたしは0か100しかない女で、人間の根本なんてそんなすぐ変わるわけない、それでも頑張って出来るだけ好きな人の実像を見失わないように目をかっ開いて立ってるってことでしょう。

幸せと毎日は手作りで、どれだけ呪いをかけられようと死にそうになりながらかけられた呪いを解いていく、隣にいる人の首に刻まれた皺やホクロを美しいと思って尊ぶこと、その首の皺がどこかの女の子のおっぱいの谷間を見るために刻まれたのかも知れないとかAVを変な角度で見ながらシコったから刻まれた皺かも知れないとか、なんて滑稽で美しいんだろう(のようなことを靖子ちゃんも言ってたね)。

初めてしたキスもデートも手を繋いだことも全部全部覚えてる、わたしがあなたに向けるすべては新品で、それまで持ってたガラクタは全部ブックオフに売っちゃったから大丈夫だよ、捨て身の0の状態のわたしで毎日あなたに向き合いたいよね、嫌いキモイ愛してるの全部がグチャグチャのごった煮になって煮こごりになってそれでも絶対愛してる、守らなくてもいい強いわたしなんて本当は存在しないしそれわたしが作ったフィクションだし、でも愛してるから守ってあげるよ。

最初から希望とか歌っておけばよかったわ なら、キスもセックスも愛してるも全部意味ない、そんな愛してるは、わたしは金輪際要らない、見晴らしのいい圧倒的な地獄の中から放つアイラブユーが、ありふれたヌルい幸せをすべて淘汰して一番てっぺんで永遠に輝きますように。