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日々の穴

『怒り』という映画を母親に勧められて、あまりにも勧めるものだから観に行った。それからというもの、過去に自分に行われた散々な行為を毎日少しずつ思い出しては毎日落ち込み、改めて自分の育った家庭の歪さに気付き絶望する。わたしに降りかかった事を知っていながらこの映画を勧めたわたしの母親はやはりどこかキチっていたということに、何よりもショックを覚えた。
映画自体は本当に本当に素晴らしいものだったのに、あのシーンが何度も何度も何度も何度も繰り返し繰り返し頭の中でリフレインするからわたしはもう内容どころではなくなってしまう。
母親になることの恐怖を恋人に話したら「きっとみんな怖いんだよ」と言われた、その時はすこし救われた気がした、けれどわたしが抱えているものはそんなレベルの話ではないのだという事実にブチ当たり、本当に家族というものに対して諦めはじめている。
父親はわたしを棄てたし親も兄弟もわたしの庇護者ではなくずっとずっと敵だった、憎んで憎んで、起きては憎んで眠っては憎んで、許せるのならとっくに死んでるし許せないなら殺してるような毎日を何とか生き延びて、誰も殺さずにここまで生き延びて、普通の家庭なんかわたしは知らないしそんなわたしに家族の作り方が分かるはずがないんだよ、そもそももう家族なんてもの、わたしは全然欲しくない。
自分を憐れむつもりは毛頭無い、人生卵子精子からやり直せるとしてもあのクソッタレな出来事以外は全部変えずに生きてやる自信がある、けれどもどうして、こんなにも今更になって苦しくなる、今更だよ。
これから好きなひとが子供を欲しそうな素振りを見せる度に、きっとわたしは絶望し続けるのだろう。どこまで話せる、どこまでアンタは受け止められる、いつまで、いつまでわたしはこの呪縛に囚われなきゃならないんだ。母親が死んでも父親が死んでも、わたしはあの虫ケラと対面しなけりゃならない、そんなの、殺した方がマシだ。死んでくれ、お願いだから死んでくれ、わたしからわたしの穴をくり抜いて棄ててしまいたい。