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絶対絶対愛してる

手を繋ぐとき抱き締めるとき笑うとき笑わせるとき、気付けばわたしからばかりが増えていた。
終わりを二度告げられてからわたしは触れるのも笑い声を聞くのも音楽をウォークマンに入れるのも全部全部最後の気持ちでやっている、楽しかった帰り道どうしようもなく泣きそうになっては、わたしがおどけると声をあげて笑っていたあの頃を思い出したもうわたしのことであんな風に笑わなくなったことに気付いて手を伸ばせば触れられる距離なのにわたしはもう失ったみたいだと隠れて気付かれぬように泣いた。

初めて手を繋いだ時のことも、初めてしたキスも憶えてる、わたしはちゃんと憶えてる。駅で見失いそうになって見渡したらちゃんと待っていてくれた、いつからこの手が当たり前になって手汗なんか気にしなくなったんだろう。

世界で一番幸せにしたい人、それでもわたしでは駄目なのかも知れない、どんなにありったけの渾身の愛を注いでも、癖や身体の弱いところや好きなものを憶えて応えても駄目なのかも知れない、わたしだから駄目なのかも知れない。わたしは一緒に幸せになりたかった。夢を叶えたあの人を見たかった。生きてるわたしを見ていて欲しかった。

朝、まだ眠りに引き摺られているとき、いつもより強く抱き締められていることに気付いて、その腕に泣きそうになって、一緒だよと呟いた。この腕を失いたくないと眠りの淵で痛いほど祈った。夢みたいだった。

何でもするから棄てないでくださいというその思いさえその人を苦しめるのなら、わたしは早く手放してあげるべきなのだろう。信じらんないバス代ケチって欲しい物は何?

失ったものを数えてはまだ見ぬものに期待する。わたしはわたしは、ノスタルジーに中指立ててファンタジーを始めたい。