死にぞこない

憎んで憎んで、朝起きて憎み、夜蒲団に潜り込んでは憎み、それでもこの両の手はその首を絞めることをしなかったから、わたしはわたしを傷付けた。許せるならとっくに許せてるし、そうでないなら死んでいるならばわたしは許したということなのだろうか。

産まれたての赤児を抱く母親のようにいちいちの言葉を事象を宝物だと大切にしてきたそれ等を暴くとドロドロに腐っていた。

声も姿を瞳も想いも一番じゃないなら死んでると同義だ。わたしは今、生きているのだろうか。撮られた写真に写るわたしはブスで、それなのに阿保みたいに柔らかい表情をしていた。わたし以外の人間達と同じように。わたししか居ないのだと信じ切っていた証拠だった。それが許せなくて、凡て消してしまいたかった。ポーン、消去。簡単なこと。


絶対にするものかと決めたことがひとつ増えた。わたしは未だに卵焼きが作れない。服の裾に触れることは二度と無いだろう。

皮ばかり綺麗で、逃げることだけ周到なお前ら、わたしはお前らが大嫌いだよ。絶対にお前らと同じところになんか行くものか。わたしはどんなに絶望的でも真実を選び取ってやる。
わたしのあのお昼前、泣きながらした決意は、何があろうと汚させはしない。誰にも汚させはしない。あれは事実で、わたしにとっての真実だった。ならば、わたしが護る。あなたからもだ。あなたにさえ、あれは潰せないんだから。

生きていてよかったという嗚咽がわたしの耳に残る。