気を失うほど楽しい地獄を見せてくれ

毎日毎日同じ景色を呆れるほど見せようとしてくる地獄を生きてるよ。愛してる愛してる愛してるって読経してたら誰のことだってどうでも良くなってた。振り返ってわたしの姿を見つけようとしたらどこにもわたしが見当たらなくて、それだけじゃなくてあの子もあの子もあの子も見当たらなかった。わたしいま、すごく、すごく誰のことも愛しちゃいないんだ。
愛してるって繰り返していて誰のことも好きじゃなくなったから死ねよって言い始めたのかなんてそんなことはわたしだって知らねえよ。
お前らの見せてくる地獄は本当につまんねえな。そんなのわざわざ見せてくるなよ、もっともっと、もっともっともっともっと痛めつけて、叩き落として、もう這い上がれないところまで潰して、息も絶え絶えになるほどの圧倒的な暗闇と光を、何だっていつだってわたしは気を失うほど楽しいのがいいからね、それだけでもう死んじゃうねっていう地獄を見せてよ。
台風18号の影響で豪雨。曇って露をためたちょっとリッチな特急電車の窓硝子を指で擦ればその冷たさに甘やかされる。
わたしのことを考えると言ってあのひとは消えた。わたし、もう21年も生きてんだよ。