ある猫のこと

わたしが夜勤で通っている家にはきょうだいの猫が三匹いる。一匹だけ体が他の二匹より小さく、ずば抜けて賢い。じっと人間を観察していて、その生活サイクルやルーティンを覚えており、決して邪魔にならないように動く。猫という生き物がやりがちなアクシデ…

⬛︎

捨てられてる犬を号泣しながら保護する夢見た。なんかそういう、揺らがない無二のようなものを求めてるのかなとか思って自分の感動ポルノにキモ、という感想。人間に疲れているからね。いいように使われている職場に久しぶりに出勤の朝不正出血。もうああそ…

JUSTICE(笑)

また有ること無いこと言われちゃったそのほとんどは無いことだった、わたしの言葉は心どころか耳に届くことすらなく都合のいい道具に成り下がって曲げられ捏ねられ掻き混ぜられてそれはもうわたしの言葉じゃないね(笑) こんなに生きてもまだそんなことの繰り…

夜天

いつか訪れてしまうだろうと判っていたけれど判らないふりをしていた、こんな感情、一生知りたくなどなかった。だめだだめだだめだ、来るな、そんなあまりにも素晴らしい光をもって、わたしの眼を焼きに来るな。世界は美しいと、諦念に塗れ愚鈍を身につけた…

新しい名前

少し前から居場所を変え始めた。今のところ誰にもそこを教えていない、嘘、好きな女には話の流れで喋ったけれども。 わたしが選ぶことができなかったものたち、名前、性別、親、家庭環境、生育国、肌の色、瞳の色…それらは殆どがわたしにとっては呪いでしか…

ちゃんと弱くなれよ

「あなたは凄い、僕はすぐに影響されてしまうから」そんな言葉を吐かれても全くわたしの心は浮き浮きしなかった。またこれか、と溜息を吐いて凝り固まったこめかみを揉む。 あなたの好きなヒップホップがカウンタカルチャーだって知ってた?なんて今まで何度…

絶望へ手向ける花

ここまで来るのに何年かかったのだろう。4年?5年?10年?わたし達は、ずっと無かったことにされていた地獄についてやっと語るところまで来たのだ。 「平和と平等と権利のための社会運動」の名のもとにわたし達の平和と平等と権利は犠牲にされ、興奮して目を…

希望なんて歌えるか

「次はどのわたしを殺せばいい?そんな呪いを棄ててここまで来たはずだったのに」そう書いて下書き保存してしまっておいたのはわずか数日前。結局わたしはわたしを二度と殺せずに生かしたようだ。 「どうしてそんなこと言うの?」と小さな拳を握り締めて純粋…

三島由紀夫『天人五衰』

お金と力を手に入れたら、その次にほしいものは、出世ですか、それとも幸福ですか。どうせあなたの考えることは、世間一般の凡庸な青年の考えを一歩も出やしないわ。 あなたには特別なところなど一つもありません。 あなたは天から選ばれてなど決してなくた…

神様の紙

渡したぶん補うかのように、自分を甘やかさなきゃ甘やかさなきゃと言いつけてあまりにも慣れすぎた染み付いた慣用句を伝えて夜をわたしだけのものにして外へ出る。 自由を思い出すために化粧をしてお酒を飲みに行こうかという思いつきは、どうせ失礼な男をい…

迷子

たすけてくださいって言いたい たすけてくださいもう立ち上がりたくないって言いたい 全部棄てて消滅したって生きる限りまたその地で人生は続いて、どうしてこんなにもちゃんとできないんだろうと思う。 ちゃんとできない、ずっとずっと、ちゃんとできない。…

わたしのなかの壊れてない部分

壊れかけて仕事を辞めた。 仕事を辞めてすこし元気になったら、今度は辞めた1ヶ月分の生活費のことが脳内をぐるぐるぐるぐる廻りはじめ、金策のためにとても嫌で心の底からかったるい仕事に手をつけはじめた。 とても嫌で心の底からかったるい仕事は、良い職…

大人になって、クソ野郎になった

十代の頃のわたしが今のわたしを見たら、一体なんて言うだろう。 思春期が終わって、特に訳もなく泣きたくなったりもしなくなって、文章が書けなくなって、生活は相変わらず潤わなくて、繊細さが傲慢さに変わって、素直にか細い感情を吐露するかわりのように…

ランタンパレードを聴いている

音楽で癒せない痛みや苦しみがいくらでもある これみよがしの繊細さ いやそれは面の皮の厚さ 風が悪びれずに様々な葉を散らしてしまう だけど今もどこかの曇り空の下で誰かが太陽の光を見つけている ああ、みんながみんな拒否をすれば良かった みんながみん…

流転する草

「根無し草としてしか生きられない」といつかの友達が書いていた言葉を読んで、わたしもそうだよと心のなかで呟いてから煙草を揉み消して仕事へ行った。 わたしは仕事が嫌いだ。 今の職場は、家から遠いことと、派遣雇用だからいつ職を失うのかとたまに翳る…

透明な乾いた武器

焼け付くような感情が、強烈な眩さゆえに周りを焼き尽くすような閃光となって、ゼロよりも速く駆け抜けていく。 圧倒的な、絶対に叶わない最強の光に木っ端微塵にされたい。 わたしという人間を散り散りにして、その美しさで焼き尽くしてほしい。 やさしいが…

25歳

しあわせだと文章が書けない、最悪 そんなことを書いてそれから止まってしまっていた。 数ヶ月前に生き地獄みたいな職場を辞めて、数週間前から新しい職場で働いている。 生き地獄みたいな職場、電話で「鬱になったから辞めます」って言ったらあっさり受諾さ…

パンク、ロック、ヒップホップ

毎日がしあわせで、楽しくて、泣いたり怒ったりすることもあるしストロングゼロ飲んじゃう夜もたまにあるけれど、それでもやっぱり手作りの毎日としあわせをヤっている。 毎日がしあわせで、今までと比べたら驚くほど平和だ。 わたしは、これがいい。 毎日が…

生根(しょうね)

気を抜くとすぐ、苦しいとか寂しいとかこんな自分で居たいだとか自分のことばかり考えてしまう。 どうであろうと自分自分言ってるやつは最悪だ。 自分の学習しなさ加減にほとほと嫌気がさすと、もうわたしの持つ欲求なんて「これ食いたい」「酒飲みたい」「…

ぬるい幸せがこのまま続きますように

夏の終わりに新しい土地へ引っ越してきた。 そこは住所に「高いところでっせ」という意味を持つ漢字が3つ入っていて(マンション名も入れたら4つだ)、毎日が登山。 家までの長い階段と急な登り坂を進むのにも少しずつ慣れてきている。きっと半年後にはわたし…

武器

「最初から希望とか歌っておけば良かったわ」ずっとそれの繰り返し。大丈夫も愛してるも全部リスク回避の為のヒントなの?愛も夢も一緒に見た景色も「いつか」の約束も全部意味なかった、意味なかったそれらに何かを見出す闘いをずっとずっとしてる、大丈夫…

最強でいてよ僕の特別

初めて聴いたときから今の今まで「この曲わたしのこと歌ってる、気持ちいい」と思う曲を作り続けている、わたしにとって特別な超歌手が居る。彼女の歌う曲はわたしだから、わたしの光だから、愛する人に教えてみたことがあった。言われた言葉は「消してくれ…

靖子ちゃんのタピオカ

ぼくを医者は救えないぼくを警察は守れないあいつを法じゃ捌けないだからといってきみにかけてしまってはいけない 負担とか 魔法とか 液体とかほらやっぱぼくとかいないほうがよかったぼくじゃぼくを救えないぼくじゃぼくを戦えないもっと良い顔が欲しかった…

俺はバックホーンを聴いている

ブルータスお前もかどころじゃあない、もうここまで来ると「次は誰だ!お前か!」になってくる。実はわたしが知らないだけで、この世には、警戒を解きはじめ心の柔らかいところを開いた瞬間背後から刺されるお決まりのパターンでも存在しているのか?心を開…

FULL

かつて、身を切るようにしてまで綴ってきた行為からすこし遠くに来たのだと思った。わたしにはこれしかないんだと、唇を噛み締めながらずっと縋るように、探るように、時には衝動として、時には抜き差しならない静かな真実として、ずっと誰に話すでもない言…

悼み

視界に飛び込んできた液晶から映る言葉は相変わらず彼の愚かさを露呈させたものだった。わたしの名前が三回目に変わった日。脳裏にまず浮かんだのは、昼間の白い光のなかで笑うわたしだった。強いお酒を飲まないと眠れなくなって毎日酷いクマを目の下に浮か…

雪が降っていたのだ

たまには変えてみよう、と思い眠りにつく前に変更したアラーム音で目覚め、異様な身体の怠さと疲労と眠気を感じバイトへ行くことが出来なかった。わたしは未だに普通に決められた通り働くことが難しくてしょうがない。こんなんで今度、生きていけるのでしょ…

水のようだ

わたしの傍らに(いつまでかは不明だが)留まるひとなのか、わたしの身をすり抜けていくだけのひとなのか、その判別が。もう分かってしまう、分かるようになってきた、未だ具現化されていない期待へ胸を膨らませ黄色い声をあげることを、わたしはもうしない。…

「使い捨ての僕の閃きを突き刺して死にたい」

あんなにも、肉体の一部がもがれたような痛みを感じた夜を何度も繰り返したのに、ふと擡げる首を上げて空を見れば雲は薄ピンクに染められ風の先端はまるくなっていた、春だった。わたしが透明になれば、わたしがわたしじゃなくなれば、いや、わたしがもっと…

生きてゆく

生きてるって超切なくて、全然おしゃれじゃなくて、ちゃんと痛かった 眼から下を隠せば裸で生きてるってことバレないから楽勝 きみがわたしの居ないところで酷いこと言ってたのちゃんと知ってるよ わたしの特別は教えない、毎日毎日がギラギラして、瘴気立ち…