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皮膚

夏に始まって夏が終わるころに終わった愛を皮切りにして、わたしの中の恋慕が枯渇した、どうやら途方もない行く末にすべてを出し尽くしたみたいです。
誰をもわたしの琴線には触れず、傷を傷以外のなにかに変えるちからも持たず、わたしはただ変わり映えのない、時にはとても楽しく時にはすこしだけ憂鬱な平和な日々を遣り過ごしながら肉体を己のものとやっと自覚し、その自覚も手伝ってかその瞬間瞬間に生まれた欲望のみを真っ当に充し、対象を持たない寂しさにも襲われず、愛するひとを持たずに生きている。

あの夏のにおいや温度や触り心地が蘇る、柔らかい声が蘇る、こんなにも容易くわたしの琴線は再び震えた、わたしはどうしてこんなにも容易い。
傷を傷とも認識せずに自然と愛おしんでしまうあなたは何て狡く美しいのだろう、決してわたしのものにはならないのだからわたしは再び震えた琴線を見なかったことにして今日も変わり映えのない生活を再びはじめる。
思い出すことはいけない、思い出さない。

まち

我が生活拠点の町に澁谷くんが訪れたのは二回目で、一回目同様にこの町のことを賞賛していた。
"生活の町"といった具合に田舎なところなので空が広く樹々が多く、それも中々に彫刻性を持った樹ばかりで空はよく見えるし団地もあるし夕方にはちゃんと知らない家から夕餉のかおりがする、田舎だから謎の空き地が出現したり、立派な鯉が泳いでいる川があったり、わたしのアパートの近くには山があったり、いつも同じ時間、同じ場所に礼儀正しくじっと座ってる猫も居る。
この町の良さはわたし自身も感じてるはずなのに、何も分からないふりしてどこが良いのか何度か訊く、そうやって、他人の視点に潜り込む。そういうことを試みる節がわたしにはあって、面倒臭え〜と我ながら感じる。
この町の何がどう良いのか訊いたら、澁谷は「ロケーショナル」と言っていた。


別にどこにもいたくないから何処だっていいよここにいてくれよ

きみの部屋に女が来てきみに触って帰っていった
それは夏の終わりの夜だった
きみは女の肌を思い出しながら不味い弁当を喰って寝る
女の肌は白くて汚い肌
女の肌は白くて汚い肌

わたし誰とでもやっちゃうの、わたし誰のことも愛してないの
それは僕もだよそれは僕も同じだよ
僕はきみの名前すら知らない
僕はきみの歳すら知らない
だってどうでもいいからね
きみよりYouTubeで観るコントのほうがおもしれえ

きみの部屋に再び女がやって来た
それは馬鹿みたいに晴れた真っ昼間
女とふたり煙草を吸って
手を繋いでみたら女は泣いた
女の目は濡れている
女の目はきらきらきらきら濡れている

お昼前に手を繋ぐとまるで愛みたい、ねえもう少しだけここにいさせて夜になる前に消えるから
僕はきみのこと知らない
僕はきみのこと知りたくもない
こんなの笑えるくらいくだらねえ
はやく膝からどいてくれ脚が重くて敵わない

きもちいいなきもちいいなきもちいいなきもちいいな

この日記絶対誤字ってる

バイト先の上司が酒を奢ってくれて、この人に奢ってもらうのは二度目、一度目と同じように彼はとても楽しかったと言ってくれた、ほらやっぱりわたしはエンターテイナーと思いつつも彼のことを人間としてとても好きだし酒は相変わらず美味いしってんで良い具合に酔っている。 
半ば酔ながら牛乳とおりものシートを購入、レジでお釣りを上手く受け取れなかった、そのままジャリ銭はレジの向う側へ落ちていった、店員は拾ってくれなかったからわたしはその小銭を見過ごすしかなかった、ジャリ銭だってわたしの生活には不可欠なのに。悔しい、遣る瀬無い、いらっしゃいましてはさようなら、いらっしゃいましてはさようなら。ずっとずっとその繰り返し。手が悴んで上手く打てやしない、ずっとずっとその繰り返し。
好きかもとか気持ち悪くて全然いいよとか思った相手にも飽きちゃってさようなら、返事遅すぎて飽きたさようなら、わたしはもう、返事の遅すぎる理由が何か分かる、分かるくらいには女になった、わたしの肉体に空いてる洞穴がこんなにも深くてジメジメしていて暖かいなんて知らなかったでしょ凡てを知った気でいた14歳、酔っぱらいながら公園の柵に腰を据えてこれをひたすらゲボのように打ってるわたしはあなた方が呼ぶキチガイですか?愛してるひとを傷付ける為に吐き出した過去の傷、どうせ当たらないミサイルで威嚇したから、愛してるひとにはなんの効果も無かったみたい、ちょううけるね、俺は弱いからまた股開いてくれるよなだったね、車はわたしみたいな酔っ払いを避けて走らなくちゃいけなくて可哀想、わたしも年中自己愛と自己恋慕に酔ってる酔っ払いを避けて走らなくちゃいけなくて可哀想、みんなみんな可哀想、自分のまま生きちゃいけなくて可哀想。

大森靖子ちゃんブログ引用

君に届くな



こんなに狭い部屋で本を読んでも
私が私だということだけが普遍で
幸せが一番独創的でなければと
思うほどともだちと相違する
扉は重くなる 自分でも開けられないほど
私が透明になれば外に出れる 今日の予定は
靴底にべったり張り付く孤独を
だらしなく歩いて拡散すること
赤い電車もなくなったし
手垢のついた夢じゃドキドキできなくなっちゃった
言葉にならない みたこともない 誰も知らない 頭のおかしい平和を望んでいる
こんなのありかよ〜ってやつじゃないと 私が平和に殺される
誰にも似てない人なんて気持ち悪い
ベージュのコートだけは買わない
誰かが 私の中の私じゃなさにお金を払った 気持ち悪い
こうして食べて、生きて、こころが膨張して、なにかが削られて、気持ち悪い
その全てを、全世界にぶち撒けたい私の全てを、
君にだけは届けたくないほど
君が好き

海が見たいとわたしは言った

わたしは明らかに人格のどこかが欠落しているという事をまざまざと見せ付けられた、どこまで惨め。傷付けられたからといって傷付けていいという事にはならないという当たり前のことに気付けなかった阿呆はわたしです、テメェは本当に一遍人を殺さなきゃ分かんねえのか。
放たれた言葉をそのままマルッと信じてしまうことはどうやら駄目らしい、それゆえにわたしが放った言葉を相手もその言葉通り信じてくれているだろうと思うことも駄目らしい。心の裏の裏の裏の裏をかいて人と接していかなければとかそういう事でもない筈で、これはきっと単純によく耳にする「思い遣り」というもの。思い遣り、思い遣り、思い遣り、思い遣りってなんですか?
最近本当に色んなことがどうでも良くて、21歳頃のわたしに戻りつつあった。普通が分かんないからずっとずっと普通になりたい。思えばわたしはずっと何かに復讐してここまで生きてきたみたいだ。きみの闘い方を教えて。

フロントメモリー

ずっと独りだったはずなのに当たり前のように落ち込んだり不在に遣り切れなくなって夢みたいな夢から起き抜け奇声を発して煙草に火をつけたりバイトも遊びも無い休日は大森靖子とコウセイとの子を繰り返し聴いて落ち込んだり起き上がったり、わたしの生活は所詮こんなもんだよきみの生活はいいにおいがしてますか?
ちゃんと絶望したはずだったのに今は何もピンと来ない、愛とか恋とかもうそろそろ怖すぎるでしょ、傷付くことにも慣れてきたし、セックスだけならわたしにも出来るはずと思ったのにセックスすら出来なかった、わたしはバカだから、誰にも触られたくなんかないのだったね。
せめてアルコールをと思い9%のロング缶を飲めば首と頭の付け根がギリギリ痛むし外はキリキリしてまじ寒ーし電話もメールも来ないし毎日部屋ん中で阿保面引っ提げて口開けたまま白目剥いてるしかお前は脳が無いのかよ。それより愛を誰よりも欲している癖にバケツの底が抜けてて今日も違う女の股に性器突っ込んでアヘアヘ射精しちゃってる馬鹿よりマシでしょ。そうだね、わたしもそんな馬鹿になりたかったよ。わたしも逃げ道が欲しかった、わたしもあんな風になりたかった、いいよね君は睫毛も長いし、いいよね君はすごくやっていけそうだし、ただぼんやりと生き延びることが得意で良かったね。わたしはなれなかったし殺せなかったし死ねなかったら生きるしかないし生きることは全然オシャレじゃないし汚されるためのピンクじゃないわ、愛する気持ちだけでは報われなかったすべて僕じゃ何も出来ないかなってそれは本当にそれで、わたしはもう全部全部どうでもいいよ。